社会保険労務士法人山口事務所
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残業の問題 こうやって解決しました

当事務所が行った残業対策をいくつかご紹介します

労働時間の特例の活用と残業代の定額払いで、繁閑に応じた労働時間の設定が可能となり、無駄な残業なくし、面倒な毎月の残業計算の手間を少なくすることができます。

資格制度・評価制度を導入し、業務の内容や難易度を明確にし、賃金も資格や評価に応じて支払います。
真面目に働いて早く帰るため、残業代が少ない社員と、
ダラダラ働いて残業代を稼ぐ社員との不公平解消が図れます。
また評価基準が明確になるので、真面目な社員を正当に評価できるようになるため、モチベーションが上がり、さらに頑張って働くようになります。

残業をする場合に事前に上司に届け出て許可された場合にだけ残業をすることができる制度です。
許可がなければ残業ができないので、無駄な残業を削減できます。

 

1. 変形労働時間制と定額残業代を活用した残業対策

労働者からの申告で立ち入り調査が行われたC事業所からこんな相談がありました。

 

突然、労働基準監督署の監督官と名乗る人が

「御社の労働者の方から、未払い残業代について申告がありましたので、立ち入り調査をさせてください。」と会社にやってきた。

言われるままに書類を出し調査に応じたところ、後日、何枚も是正勧告書やら指導票やらを渡された。

そこには過去3カ月分の未払いの残業代を支払うことの他、労働条件通知書、就業規則、健康診断の結果報告のこと等が書かれていた。

C事業所の担当者は

「本人が伸び伸びと仕事ができるように、細かいことは言っていないし、自主的に残業をして頑張ってる分は評価して給料を上げてきたのに。」

「それに、うちはけっこういい給料を払ってるから、残業代はその中に含まれているんだよ。」

「雇い入れるときにそのことはちゃんと説明してるから納得して入社しているはずなのに、こんな申告をされるなんて心外だ。」

とご立腹の様子でした。

 

確かにC事業所さんでは、優秀な社員さんにたくさん来てもらいたいという願いや、頑張っている人を評価したいという考えから、一般的な中小企業に比べると「いい」給料を支払っていました。

役所から指導を受けたとはいえ、現在の給料に更に残業代を支払うというのは現実的に難しいとのこと。

そこで、弊社では”変形労働時間制の採用と”残業代の定額支給”の二つを組み合わせた残業対策を提案をしました。

 

①変形労働時間制の採用

C事業所は、季節によって業務に繁閑の差があるようでしたので、1年単位の変形労働時間制”を採用することが適当と判断しました。
 

”1年単位の変形労働時間制”とは、
1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で1週間又は1日の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

 

忙しい時期の労働時間を長くしたり、出勤日数を多くしたりする代わりに、他の時期の労働時間を短くしたり、休日を多くします。

1年(又は1年以内の一定期間)全体を通して平均すると法定労働時間内におさまればよいので、繁閑に合わせて労働日や労働時間を設定できます。

 

忙しい時期は大変ですが、そうでない時期にはゆっくり休むことができますので社員さんにとってもありがたい制度です。
上手に活用すれば、結果的には全体として残業を減らすことができます。

社員さんは、充実した家庭生活を送ることができるようになり、一定の時期以外は身体への負担も軽減されます。

C事業所のような繁閑の差がある会社さんにはお勧めです。


 

②残業代の定額支給

C事業所さんでは恒常的に残業が行われていたことと、割といい給料と賞与を支払っていたことから、労働者の方にそれぞれ個別の同意を得て、その一部を30時間分の定額の残業代とすることとし、30時間を超えた分については、別途残業代を支給することにしました。

 

”残業代の定額支給”とは、
例えば月20万円の給料を支払って人を採用しようと思っているとします。
そのうち18万円を基本給とし、残りの2万円を何時間分かの定額の残業代として支払うのです。
もちろん、実際の残業時間がその何時間かを超え場合には、超えた時間の残業代は支払わなくてはいけません。
 
基本給20万円としてしまうと、C事業所さんのように別途残業代を支払わなければなりませんが、
前記のように給料の一部をあらかじめ時間外労働に対する割増賃金と明確に定めておけば、その分は残業代をきちんと支払ったことになります。

 

こうしてC事業所さんでは、変形労働時間制の採用と定額残業代の支給で、残業代の問題を解消しました。
 

このように変形労働時間制を採用する場合や、賃金体系を変更する場合には就業規則の変更が必要です。
また、現在在職中の社員さんに残業代の定額支給制度を適用するには、あらかじめ十分に説明をし、個別に同意を得ることが大切です。
 
今回のC事業所さんの事例は、残業代の支払い方法に原因があったわけですが、労働者と使用者のコミュニケーション不足も大きな溝を作ってしまう原因になったようです。
改善すべきことは改善する必要がありますが、労使のコミュニケーションを図ることも大切です

 

 

2.賃金制度の見直しで残業対策

最近、遅くまで残業する社員が多く、残業代が増えている。

できれば残業代の負担を減らしたい。

頑張っている社員の給料はきちんと払ってあげたいし、給料も上げたいけれど、

残業代だけで毎月かなりの額を払っているので、給料を上げたくても上げられない。

とE社長が相談に来られました。

 

社長や社員さんから話を聞きながら、賃金規程、賃金台帳・タイムカード、組織図などを元に時間外労働を把握し、誰がどんな仕事をしているか、現状の賃金の問題点を分析しました。

 

すると、

  • 特定の人やチームに業務が集中している
  • 効率良く仕事ができない社員がいる為、休日出勤・残業が多い
  • 評価の不透明さが社員の意識低下につながっている
  • 手当の種類を増やした為に運用が難しくなっている

など、いくつかの問題点が見えてきました

 

そこでE社長へ次の解決策を提案しました。

  1. 残業のやり方を変える
  2. 業務の内容と処理体制の見直し
  3. 新しい資格制度・評価制度を設計する
  4. 賃金体系の見直し​など

 

 

手始めにE社長は社員へ残業時間削減を呼びかけ、会社の取り組みを周知しました。

 

次に、

1.残業のやり方を変えるために、残業・休日出勤を許可制にし、

 

2.業務分担の変更、チーム・個人ごとに計画表を作って作業を行う など、業務のやり方を変えました。

すると、どれだけ不必要な作業や残業をしていたかが判明し、会社全体で業務の効率化に取り組むことができるようになりました。

 

そして、

3.基本給、諸手当の統合・分解と新しい資格制度・評価制度導入に着手しました。

 

4.の新しい賃金体系の見直しは、合理的な理由があれば社員の同意は不要ですが、

いきなり制度を変更しては、社員の生活に大きな影響を与えるおそれがあるので、

1年の猶予期間を設けることにしました。

 

その間、当事務所が講師となり、管理職者向け・社員向けの新制度説明会を開きました。

また、E社長と管理職者には社員の模擬評価と個人面接をしてもらい、

話し合いと調整を繰り返し、員さんも一緒になって制度を作っていきました

今回、新しい資格制度・評価制度を導入したことにより、業務の内容や難易度が明確になりました。

そのため、管理職は客観的に社員を評価できるようになり、社員は何ができれば評価されるのかが分るようになりました。

その結果、有志の社員が能力アップの為、自主的に勉強会をするようになりました。

実際に制度を運用してみて改善が必要なところが出てくることもありますし、制度の定着には通常2〜3年の期間が必要です。
E社長の会社では、導入から定着まで2年かかりました。

 

 

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3.残業許可制を活用した残業対策

毎月残業代だけで基本給分くらいの額を支払っている社員が何人もいることが気がかりなS社長。

あまり忙しくない時期にも残業代が減らないし、新入社員で仕事があまりないはずの社員まで残業代が多い。

このまま残業代を支払い続けると経営を圧迫しかねないのでどうにかしたい。

困ったS社長から、どうにかならないものかと相談がありました。

 

この会社ではタイムカードの打刻時間をもとに、

所定時間外労働についてはすべて残業代を支払っていました。

 

残業については、部署や担当ごとの都合もあるだろうからと、昔から社員の自主性に任せていたところ、

どんどん残業時間が増えていき、相談に来られた時には月の残業時間が80時間近い社員さんが多くいらっしゃいました。

 

よくよく話を聞いてみると、付き合い残業や、時間合わせのための残業、残業代を稼ぐための残業というものがかなりあるようでした。

 

そこで、残業許可制を使って残業を削減することを提案しました。

 

残業許可制とは社員さんが残業をする場合に、

事前に上司に届け出て承認された場合だけに残業ができるという制度です。

 

許可がなければ残業ができないので、必要のない残業や、残業代を稼ぐための残業というのをなくすことができます。  

 

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導入の目的
  • 長時間労働による健康障害防止
  • ムダな残業を無くす(付き合い残業、時間合わせの残業、残業代稼ぎ等)

 導入するにあたっては、事前に従業員に制度の説明をし、適切に運用しましょう。

残業の手順

1.残業をする場合は事前に上司の承認を受ける

2.上司は届け出の内容が残業を必要とするか吟味し、必要最小限度の時間で許可する。承認を行う際には次の事項をチェックし、残業許可の要否を判断しましょう。

  • 今日中に処理をしないと間に合わない仕事なのか
  • 翌日以降に処理ができないか
  • 残業をしないと業務に支障が出るか
  • その仕事を他の従業員に分担させられないか 等

3.残業をさせたときは、従業員に実際の残業時間を報告させ、上司が許可した時間と実際の労働時間に差がないか確認する。「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」※

  • 確認した結果、許可した時間と実際の労働時間が違う場合は、その理由を確認し必要に応じ許可した時間を訂正します。
  • 訂正を行った場合には「許可した時間が適正であったか 」「必要以上に残業をしていないか 」を検討し、次回からは訂正をすることがないようにしましょう。

注意事項

  • 安易に残業をさせない
  • 必要な残業はさせる
  • サービス残業はさせない
  • 仕事が終了したらすぐに退社することを徹底する

 
残業許可制が定着するまでには時間がかかります。
適正に運用されなければサービス残業の温床にもなりかねません。
時間の経過と共に制度が形骸化していく企業もあります。
定期的に実態調査を行い、目的に合った適切な制度の定着を目指してください。

※労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン より

自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合、使用者は次の措置を講ずること。 

ア  自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間 の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行 うこと。 
イ  実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本 ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。 
ウ  自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

エ  自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。

その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど 使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。

オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、 上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定 (いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然で あるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわ らず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者 や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

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