山口経営労務管理事務所
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残業を禁止しているのに、労働者が勝手に行った残業に対して残業手当を支払わないといけないのは納得いかない

弊社では原則残業は禁止していて、普段から定時に退社するように社員には注意をしている。  
それにもかかわらず、社員がなかなか定時には帰らない。
残業するほど仕事があるとは思えないし、こんな場合でも会社が残業手当を支払わないといけないのは納得がいかない。

単に残業を禁止しているだけでは、原則として残業手当を支払わなければならないと考えられます。

 似たような裁判例から、残業を禁止する場合に会社がどのようなことに注意しなければいけないのかをご紹介します。

「神代学園ミューズ音楽院事件」(東京高裁平成17.7.30判決)

この事件は残業禁止命令に違反して時間外労働をしていた労働者が残業手当の支払をめぐって会社と争った事案です。

≪事件の概要≫
この音楽院は音楽家を養成する専門学校です。
当音楽院では36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結・届出していないこともあり、従業員に対し時間外・休日労働を禁止し、残務がある場合には役職者に引き継ぐことを命じ、これを周知徹底していました。
 
この業務命令に反して時間外労働をしている場合には、直ちに取りやめるよう指示し、業務命令に反して行った時間外労働に対する手当は、支払っていませんでした。
 
このような取扱いに対して、従業員(管理職を含む)の8人が残業手当を請求した事件です。
 
≪裁判所の判断≫
 「使用者の明示の残業禁止の業務命令に反して、労働者が時間外又は深夜にわたり業務を行ったとしても、これを賃金算定の対象となる「労働時間」※1と解することはできない。」と判示し、残業禁止の業務命令に反した労働時間の残業手当の請求を認めませんでした。
 
つまり、この事件では裁判所は残業手当を支払う必要はないと判断したのです。
 
この事件で残業手当の請求が認められなかった理由は次の2点を従業員に周知し、徹底していたことです。

  1. 残業の禁止
  2. 残務がある場合には役職者に引き継ぐこと

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実務上の留意点 

一般の会社では残業を禁止することはできても、残務を役職者に引き継ぐことは難しいでしょう。
 
しかし、単に残業を禁止するだけでは時間外労働の削減・管理には充分とは言えません。

 

特に業務量が、通常の所定労働時間内で処理することが明らかに困難な場合には、「黙示の残業命令」※2(暗黙の指示)があったと考えられ、残業手当の支払いが必要です。

残業を禁止する場合には、所定の時間内で仕事を終えられるように担当業務を調整する等の相応の対策をとらなければなりません。

 

時間外労働を制限している企業では「残業許可制」が活用されています。手順に従って適切に労働時間を管理することで、過重労働を防止し、ムダな残業を削減しましょう。

 

残業許可制というのは、残業を削減する方法の一つです。

残業が必要な場合には事前に上司に届け出て、承認された場合にだけ、残業が出来るという制度です。 

※1 労働時間
「労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」(平12.3.9最高裁:三菱重工業長崎造船所事件)
 
※2 黙示の残業命令
「教員が、使用者の明白な超過勤務の指示により、又は使用者の具体的に指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間内ではなされ得ないと認められる場合の如く、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合には、時間外労働になる。」(昭25.9.14基収2983号)

労働時間、残業手当(割増賃金)の問題は、労働基準監督署の調査でも毎年、法違反の上位にあがっています。
最近は、誰でも簡単に法律等の情報を手に入れられるため、労働者から労働基準監督署への申告による、立ち入り調査も増加しています。
ニュースでも度々取り上げられていますが、遡っての残業代支払が指導されるケースも後を絶ちません。
 
少しでも不安なところがある場合には、安易に考えず、きちんとした対応をすることをお勧めします。

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